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リハビリ職のキャリア相談を受けていると、同じところでつまずいている人によく出会います。
転職エージェントに登録して、面談を受けて、求人をいくつか紹介されて、なんとなくピンとこないまま止まってしまう。あるいは勧められるまま応募して、入職してから「思っていたのと違った」と気づく。
原因の多くは、面談そのものではなく面談前の準備にあります。
私は理学療法士として現場に立ち、その後は介護事業の立ち上げや組織開発に関わってきました。国家資格キャリアコンサルタントとケアマネジャーの資格も持っています。求人を売る側ではなく、キャリアを見る側にいた立場から書きます。
この記事では、初回面談の前にやっておくと結果が変わる5つのことをまとめました。所要時間は全部で1時間ほどです。
なぜ準備が必要なのか
アドバイザーは、あなたの話した内容を検索条件に翻訳して求人を探します。
準備なしで面談に臨むと、渡せる情報が「PT◯年目、今の職場が合わない、年収は上げたい」程度になります。この情報量では、条件に合いそうな求人を10件ほど送って様子を見る、という対応にならざるを得ません。そこから先が動かないのは、アドバイザーの怠慢ではなく、材料が足りていないからです。
逆に、条件と実績が整理されている人には、アドバイザーも動きやすくなります。施設側に売り込む材料があるので、年収交渉も現実的になります。
1. 転職理由を「不満」から「条件」に翻訳する
「人間関係がつらい」「評価されない」「業務量が多い」
これは転職理由として自然ですが、そのまま伝えても求人紹介にはつながりません。検索できる形になっていないからです。
観測できる条件に置き換えます。
| 不満 | 翻訳後に確認すべきこと |
|---|---|
| 人間関係がつらい | カンファレンスの頻度、リハ科の人数構成、主任の在職年数 |
| 評価されない | 昇給基準が明文化されているか、役職者の年齢層 |
| 業務量が多い | 1日の担当単位数、書類作成が業務時間内か時間外か |
| 成長できない | 症例検討会の有無、外部研修費の補助、指導者の在籍 |
翻訳する過程で、転職しなくても解決する問題かどうかが見えてくることもあります。それも収穫です。
指導していた後輩の話
私が指導していた後輩に、人間関係を理由に職場を離れ、その後も転々としている人がいます。
本人に落ち度があったわけではありません。ただ、次を選ぶときの基準が「前より雰囲気が良さそう」だけだったんです。雰囲気は見学の1時間では分かりません。だから何度選び直しても、同じところに戻ってしまった。
もし「カンファレンスが週何回あるか」「リハ科の人数と年齢構成」「主任が何年その職場にいるか」を毎回確認していたら、違ったのではないかと思います。人が定着しない職場には、雰囲気ではなく構造の理由があります。
指導する立場だった自分が、技術は教えても次の職場の選び方までは教えていなかった。それは今も引っかかっています。
なお、ハラスメントや明らかに理不尽な環境から離れるのは正しい判断です。ここで言いたいのは「逃げるな」ではなく、逃げた先を選ぶ基準を持っておくということです。
2. 譲れない条件を3つに絞り、順位をつける
条件を5つ以上挙げると、該当する求人がゼロになります。かといって1つだけだと視野が狭くなりすぎる。3つ、順位つきが最も機能します。
順位が重要なのは、実際の求人は必ずどこかが欠けるからです。
たとえば「年収」「通勤時間」「訪問リハ」の3つで、訪問リハが1位だとします。すると、年収が想定より少し低い訪問リハの求人も検討対象に残せます。順位がないと、条件を1つ外した瞬間に「これは違う」と全部を切ってしまう。
面談では、この順位をそのまま伝えてください。「この3つで、優先順位はこの順です」と言える人は、それだけで話が早く進みます。
3. 自分の実績を数字で言えるようにする
リハビリ職の職務経歴書は、経験した疾患名の羅列になりがちです。ですが採用側が見たいのはそこではありません。
面談前に、次の4つを数字で言えるようにしておいてください。
- 1日の平均取得単位数
- 主に関わった病期(急性期・回復期・生活期)
- チーム内での役割(後輩指導、実習指導、委員会、算定業務)
- 部門の人数と自分の立ち位置
これが言えると、アドバイザーが施設側に「こういう経験を持った方です」と具体的に売り込めます。言えないと「PT◯年目」という情報しか渡らず、条件交渉の材料がなくなります。
正確な数字でなくて構いません。「だいたい18単位くらい」「回復期が中心で、直近2年は生活期も」という粒度で十分です。
4. 給与は月給ではなく「年収+内訳」で確認する
医療・介護分野は賞与の変動幅が大きく、月給が高くても年収では下がることがあります。
確認すべきは4点です。
- 賞与の実績(規定上の月数ではなく、直近の支給実績)
- みなし残業の有無と時間数
- 手当のうち固定分と変動分
- 昇給の実績額
とくに1つ目が落とし穴です。求人票に「賞与年4ヶ月」とあっても、業績連動で実績は2ヶ月というケースは実在します。規定と実績は別物です。
これらはアドバイザーに依頼すれば施設側に確認してもらえます。自分で聞きにくいことを代わりに聞いてもらえるのが、エージェントを使う実質的なメリットのひとつです。
5. 退職までの実務ハードルを先に潰しておく
内定が出てから就業規則を開いて「退職の申し出は3ヶ月前」と判明する。入職日がずれて、内定が流れる。これは実際に起こります。
面談前に確認しておくもの。
- 就業規則の退職申告期限
- 有給の残日数
- 年度替わりの慣行(4月入職を求める法人は多い)
- 学生指導や委員会の引き継ぎ時期
「最短でいつから働けるか」を明確に言える人は、アドバイザー側の優先度も上がります。施設に紹介しやすいからです。
おまけ:担当者の質を見抜く2つの質問
転職支援の質は、会社の看板よりも担当アドバイザー個人の力量と相性で決まります。
初回面談の最後に、この2つを聞いてみてください。
「この求人、前任の方はどういう理由で辞められたんですか?」
即答できる担当者は、その施設と実際に関係を持っています。「確認します」と答えるのは誠実な対応です。問題なのは、何度聞いても曖昧な返答しか返ってこない場合。その担当者は求人票を転送しているだけの可能性があります。
「以前この施設に紹介された方は、その後どうされていますか?」
定着状況を把握しているかどうかで、入職後まで見ている担当者かが分かります。紹介して終わりの人と、その後を追っている人では、求人の見立ての精度がまったく違います。
答えにくそうな質問に見えますが、まっとうなアドバイザーほど嫌がりません。むしろ「よく見ている求職者だ」と受け取ります。
まとめ
面談前にやること。
- 転職理由を、検索できる条件に翻訳する
- 譲れない条件を3つに絞り、順位をつける
- 自分の実績を数字で言えるようにする
- 給与は年収と内訳で確認する
- 退職までの実務ハードルを先に潰す
そして面談では、担当者の質を2つの質問で確かめる。
この準備をしたかどうかで、同じエージェントを使っても結果は変わります。転職するかどうかまだ決めていない段階でも、1と2をやっておく価値はあります。自分が何に困っているのかが、輪郭を持ってくるからです。
モヤモヤを一人で抱えている方は、個別相談を受け付けています。


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